商品詳細
ふローズカットダイヤモンドと天然ハーフパールのクラスターモチーフがセンターに留められた、18Kゴールドブローチです。19世紀中頃に制作されたもので、その圧倒的に美しい模様とゴールドの輝きが目を惹く、まさに逸品と呼ぶに差し支えないお品でしょう。
※本品は、『”Jiji”コレクションのオークション』で仕入れた5品のうちの1品です。
本体表面に施されたエングレービング(彫り)と、上下左右にあしらわれたオープンワーク(透かし細工)を構成しているのは、アカンサスの唐草模様です。いずれの細工も非常に緻密で、意匠としての美しさに加え、彫りの模様や凹凸のあるオープンワーク装飾が光を受けて生まれる明暗のコントラストが、きらめくような輝きを生み出しています。アンティークジュエリーには、ややくすんだ重厚な風合いが似合うものがある一方、キラキラ輝くさまが映えるものもあります。本品は明らかに後者にあたるため、ゴールドをしっかりと磨き上げ、その輝きを引き立てるよう仕上げました。
アカンサスの唐草模様は、地中海沿岸に自生するアカンサス(葉薊)の葉を様式化したものです(Cスクロール模様と混同して用いらているのをよく見かけますが、厳密には異なります)。紀元前5世紀、古代ギリシャのコリント式柱頭に起源を持ち、以来ルネサンス、バロック、ロココと、時代ごとに繰り返し復興されてきました。本ブローチでは、フレームの輪郭に沿って葉が波打つように表現され、葉脈を思わせる筋彫りが施されています。19世紀のロココ・リバイバル(1930~1960年代)やナポレオン三世様式のジュエリーに、こうした立体的な縁飾りとしてよく見られるデザインです。なお、アカンサス装飾はもともとパルメット(扇形の葉を持つヤシを彫刻したもの)として始まり、後になってアカンサスに似ていると見なされるようになっただけ、という説もあることを付け加えておきます。
センターのローズカットダイヤモンドは古い19世紀の石らしくガードル部にがたつきはありますが、オープンバックでもフォイルバックでもないにも関わらず、驚くほど美しい輝きを放っているのが印象的です。原石の形を最大限に活かした、真円ではないカットに、アンティークならではの趣が漂います。このダイヤモンドを持ち上げている爪はシルバー製。まだプラチナが実用化されていなかった19世紀にダイヤモンドの美しさを引き立たせる用途で使われていた金属は、シルバーでした。本品は、爪と爪の間が完全な透かしになっておらず、薄いプレートで繋がった、特に19世紀前半によく見られた留め方です。
8個の天然ハーフパールを支えているのはゴールド製の爪。それぞれ3本で構成されており、王冠を思わせるデザインです。細密なアカンサス模様にとどまらず、石の留め方にまで趣向を凝らす姿勢には、当時のジュエラーのデザインに対する徹底したこだわりが感じられます。こちらも爪の間の透かしが無いスタイルで、本ブローチの時代をうかがわせる作りです。
ピンとCクラスプには、18Kを示すフランスのフクロウ刻印が押印されています。フクロウ刻印については、アンティーク物語『フクロウ(Hibou)はフランス刻印のジョーカー?』をご参照ください。ちなみに、背面下部のフック状の金具は、Pampille(房飾り)や懐中時計を吊るすためのパーツです。
優れたデザインと、19世紀の特徴を色濃く残す造り。その両方を高い水準で兼ね備えていることこそ、本ブローチ最大の魅力といえるでしょう。美しいデザインに惹かれるジュエリーマニアの方はもちろん、アンティークならではの時代性や歴史的背景を重視されるコレクターの方にも、自信を持っておすすめできる一品です。
※商品写真のジュエリーボックスは付属しません。