商品詳細
世界中のアンティークジュエリーファンの夢とロマンをかきたてるペルピニャンガーネット。フランスのアンティークジュエリーがお好きな方であればほとんどの方がご存知かと思います。ペルピニャン近隣のカタルーニャ地方の鉱山で過去に採掘されたガーネットを使用した本物のアンティーク品にこだわる当店では、なかなか多くを仕入れることができません。本品もフランス買い付け時にスペイン国境近くのペルピニャンの町まで足を延ばし、町のトップディーラーからようやく仕入れることのできた数個のうちの一つです。
クロス(十字架)ジュエリーの多くはペンダントに仕立てられていますが、大ぶりな本品はブローチとして制作されています。ピンは横方向ではなく、少し珍しい縦方向。この長くしっかりしたピンのおかげで、ジュエリー背面がしっかり保護されてきました。ペンダントタイプのクロスは後ろをカバーするものがなく、古いものである場合は衝撃などを受けて背面に凸凹ダメージのある場合が多いのですが、ピンに守られた本ブローチはオリジナルの美しいカーブを保っています。この状態をさらに引き立てるために提携工房にて念入りにクリーニングしていただきましたので、背面からも美しいゴールドをお楽しみいただくことができます。なお、ピンのヒンジ下にチェーンを通していただくことにより、ペンダントとしてご利用いただくことも可能です(ピンの奥行があるため、多少左右に傾きます)。
ファセットカットされた楕円のガーネットはもちろんカタルーニャ地方産のペルピニャンガーネット。この地方のガーネットらしい紫が強い色味で、これは石を横からご覧いただくとで確認することができます。正面位置から見える強い赤味はフォイルの反射によるもの。ペルピニャンの伝統ジュエリーは、ガーネットに赤色と輝きを付加するために、赤く色付けした金属フォイルが底に敷かれています。このフォイルと紫味が強いペルピニャンガーネットの組み合わせにより、角度によって紫が強くなったり赤味が強くなったり、輝きが増したり減じたり、幻想的なペルピニャンガーネットジュエリーが誕生するのです。
もう一つ、本品の素晴らしい特徴をお伝えしましょう。ペルピニャンガーネットは爪留めでセッティングされていることが多いのですが、本ブローチは爪の無いベゼルセッティング。また、台座下部周囲には上からミルグレインのように見える縦縞仕上げの美しい装飾が施されており、シンプルな爪留めとは違ったゴージャスなイメージを醸し出しています。このセッティングは、ペルピニャンが属するラングドック・ルシヨン地方に18世紀から伝わるバディーヌ(badine)・クロスと名付けられた十字架タイプの煌びやかなジュエリーと同じもの。アンティークのバディーヌ・クロスも多くがこの地方のガーネットを使用して制作されていましたので、そのデザインの一部を踏襲したものと思われます。
興味深い特徴の多い本品は、もちろんブローチとして実用いただけますし、大事なコレクションとして代々受けついでいただくこともできるレアな逸品といえるでしょう。
アンティーク物語「ペルピニャンガーネット詳説」と「フクロウ(Hibou)はフランス刻印のジョーカー?」もぜひお読みください。
※商品写真のチェーンは付属しません。