商品詳細
優しい輝きを放つローズカットダイヤモンドが台座を覆う、19世紀末頃に制作されたマーキーズリングです。ローズカットダイヤモンド以外にも、マーキーズデザインやローズゴールドのシャンク、台座サイドの透かし細工など、アンティークジュエリーらしい要素が勢ぞろいするアンティークファン垂涎のリングです。
「マーキーズ」はフランス語で侯爵夫人の意。ルイ15世の愛人であったポンパドール夫人（侯爵夫人）からこの名前が取られました。もともとはリングのスタイル名ではなく、ダイヤモンドのカットに付けられた名前です。ルイ15世がポンパドール夫人の美しい笑顔を永遠に残すために、その唇をイメージしてダイヤモンドをカットさせたのがマーキーズカットの始まり。マーキーズリングについては、アンティーク物語「アンティークリングの少しややこしい話」にその由来などが書かれていますので、ご興味のある方はお読みになってみてください。
台座に留められているローズカットダイヤモンドは19世紀らしく大きさもカットラインもまちまち。この時代のダイヤモンドはできるだけ原石のボリュームを大きく残すことができるようカットされていました。そのため、アンティークジュエリーでは一石一石が微妙に異なる形状になっているケースがよく見受けられます。本リングにおいても、シングルカット的に見える石があるほどです。ローズカットについては、アンティーク物語『時を超えて愛される輝き：ローズカットダイヤモンドの魅力と歴史』をご参照ください。
メインの3石がラフなベゼルセッティングで留められているのに対し、周りを取り囲むダイヤは爪（サイドの透かし細工の先端）とプラチナ充填で押さえるセッティングとなっています。メインストーンが縦に3石並ぶ配置は、19世紀初頭から20世紀のアールデコ期までのマーキーズリングにおける定番のスタイル。本リングが作られた19世紀後半はこのセンターストーンも爪で留められているケースが多かったのですが、本リングはベゼルセッティングを用いることによりセンターストーンを強調した、少しアールデコ的なデザインとなっています。もちろん、アールデコ期のマーキーズリングはより幾何学的で先鋭的、全体的に本リングとはかなり異なるデザインです。
シャンクはややイエロー寄りのローズゴールド。ショルダーにダイヤモンドが1石づつ留められています。刻印はありませんが、当店にて科学的検査を行い18Kゴールドであることを確認しました。台座のサイドには19世紀らしい美しい透かし細工が施されています。これは魅力的なルックスを実現するだけでなく、横から光を取り入れることによってダイヤモンドの透明感と輝きを増幅させるための工夫でもあるのです。ダイヤモンドがオープンバックセッティングで留められているため、サイドの透過光がダイヤモンド下に回り込み上面に届くという仕組み。上から当たる光と下から回り込んできた光のダブル効果でダイヤモンドを引き立てているのです。ローズカットのためブリリアント系カットのような強い輝きはありませんが、明るく優しい光と素朴な輝きが透明感のある美しさを醸し出しています。
本マーキーズリングは、時を超えてなお輝きを放ち、手元にエレガントな存在感を添えてくれます。洗練されたシルエットが魅力的で、身に着けるたびに特別な気分を感じさせてくれる一品です。
指輪のサイズ直し（ご購入時初回は無償）をご希望の場合は必ず事前にご相談ください。ご希望のサイズにリフォーム可能かお調べいたします。ご自分のリングサイズの調べ方はこちらの記事でご確認ください。