商品詳細
五つのオールドヨーロピアンカット・ダイヤモンドが一列に並んだ、アールデコ期のリングです。中央から両端にかけて、サイズにグラデーションをつけるようにダイヤモンドが留められており、どの角度から見ても、優美なラインが生み出す躍動感をお楽しみいただけます。正面のビューでは、リングの表面全体を覆うようにダイヤモンドが留められており、アールデコらしいラグジュアリーな印象も併せ持つお品です。
商品写真でご覧いただける通り、ダイヤモンドはいずれも大きなキューレットを持つ、本来の意味でのオールドヨーロピアンカットです。それぞれ微妙にスタイルが異なる素朴なカットで、19世紀末頃にカットされたものでしょう。古い時代のダイヤモンドを再利用して新しいデザインに仕立てることは、当時よく行われていたことです。特に、アールデコ期はそれまでの重厚なデザインから、より軽やかでモダンなデザインへと移行する時期でしたので、代々受け継がれたダイヤモンドを、時代に合ったジュエリーに作り変えるということがよく行われていました。
本リングは、フランスで「ジャルティエール」(jarretière)と呼ばれるスタイルのもの。宝石が中心から両サイドへ向かって徐々に小さくなるように配置され、ダイヤモンドと色石とを交互にセットしたリングも見られます。古い時代のものは幅広の台座がメインで、そのデザインから、ガーターベルトを意味する”jarretière”と名づけられたのです。ジャルティエールは中世から存在し、その後も18世紀、19世紀、アールデコ期と、何度か流行を繰り返してきました。ルネサンス期には、男性が女性に婚約の証として贈る、愛の印としても用いられるようになりました。フランスでは現在でもエンゲージメントリングとして活躍しています。
本リングが制作されたアールデコ期は、直線的・幾何学的なデザインが流行した時代。もともとはどちらかというと丸みを帯びていたジャルティエールも、直線的、幾何学的なデザインに変化しました。本品もその潮流を反映しており、ダイヤモンドは五つ並んだ四角い枠の中に留められています。この枠も、サイズが徐々に小さくなるグラデーションデザインで構成されており、アールデコらしい幾何学的な印象をより一層際立たせています。
本品を含め、アールデコ期のジャルティエールで特徴的なのは、ダイヤモンドが非常に高く持ち上げられていることです。このデザインには二つの効果があります。一つは光の取り込み。下から大量の光が取り込まれることで、ダイヤモンドがより強く、美しく輝きます。もう一つはデザイン面での効果。ダイヤモンドが直線的なスタイルのオープンワークフレームで持ち上げられているため、サイドビューも、シャープで幾何学的な、アールデコらしいデザインを実現しています。20世紀初頭までに多く見られた細密な透かし細工の台座とは、かなり異なる印象を与えますね。
シャンクはイエローゴールド、台座はこの時代に多く使われたホワイトゴールドです。刻印はありませんが、当店にて科学的な検査を行い、14Kゴールドであることを確認しています。モダンでシャープなデザインが特徴のアールデコジュエリーは、「アンティークらしい味わい」よりも、表面に艶と輝きのある、時間の経過を感じさせないフレームが似合うのではないでしょうか。本品は保存状態がよく、当店でもその魅力がより際立つよう、丁寧に磨き上げました。ぜひアールデコジュエリーらしい高級感をお楽しみください。
指輪のサイズ直し(ご購入時初回は無償)をご希望の場合は必ず事前にご相談ください。ご希望のサイズにリフォーム可能かお調べいたします。ご自分のリングサイズの調べ方はこちらの記事でご確認ください。