商品詳細
カラフルなトルコ石とマーカサイトの輝きが目を惹く、アールデコ期のペンダントをご紹介いたします。お伝えすることが多い魅力的な要素満載のアイテムで、何からご紹介するか悩んでしまうほどです。
ジュエリー上部にリボンをあしらったマリー・アントワネットスタイルはもちろん18世紀発祥のデザイン。その後19世紀後半のナポレオン3世時代やベルエポック期にも流行し、特に本ペンダントのように内側にゆらゆら揺れる石がぶら下げられたスタイルのものはベルエポック期に多く作られました。
本ペンダントはその少し後のアールデコ期に制作されたもの。それ以前の時代のものと識別するポイントは、やはりシンプルですっきりしたリボンの形状でしょう。(リボンジュエリーの詳細はアンティーク物語「アンティークジュエリーとリボンモチーフ」をご覧ください。)次にご紹介するある珍しい刻印の一つの使用時期が1906年からということも時代特定の一つのキーとなります。
本ペンダントには2種の刻印があります。リボンを含むペンダントフレームの素材を示すものとして「イノシシの頭」が、トルコ石の台座の素材を示すものとして「イーグルヘッドとイノシシの頭」(フランスでは"Poinçon ArgOr"と呼ばれることもあります)が押印されています。
アンティークジュエリーに興味をお持ちの方であれば、「イノシシの頭」(1838-1962)がフランスのシルバー800を保証する刻印であることをご存知の場合も多いとかと思います。もう一方の「イーグルヘッドとイノシシの頭」(1906-)は目にすることの少ない、珍しい刻印です。イノシシの頭半分とイーグルヘッド半分が組み合わさったこの刻印は、刻印のある金属部にゴールドとシルバーの両方が使われていることを示しています。この刻印が保証するのは、金銀それぞれがそのジュエリーの金属部分の3%以上を占めているということだけ。たったそれだけ?と思われるかもしれませんが、ほとんどのケースでは本品同様、該当の金属部分がシルバーとゴールドのみで構成されています。トルコ石の台座を横から写した写真をご覧ください。下部のシルバーと上部のゴールドが圧着されていることがわかります。
ゴールドやシルバーの純度についてやや控えめな数値が記載された資料もありますが、かなり眉唾です。本ペンダントの該当部分を検査してみたところ、シルバーは800でした。トルコ石に近く面積が狭いゴールド部については、石を痛めてしまう可能性が高いため化学的検査はしておりません。当時のフランスジュエリーにおける最低純度である18Kであると思われます。
フィリグリーのチェーンは持ち主が本ペンダント用に別途合わせたもの。純度を保証する刻印はありません。当店で検査したところ、シルバー500であることが確認できました。留め具に押印された"3S"マークはおそらくメーカーズマーク的なものでしょう。アールデコ期以降のビンテージチェーンである可能性もありますが、オマケとしてお付けいたしました。フィリグリーの幾何学的で対称的なアールデコ的デザインは本ペンダントにぴったりマッチしていますので、適当なチェーンをお持ちでない場合はぜひお使いください。