商品詳細
表と裏に異なるモチーフが描かれている、アールデコ後期(1930年代前半)のシルバー製ペンダントトップをご紹介いたします。表裏それぞれ全くイメージが異なりますので、2WAYでお使いいただける一粒で2度美味しいジュエリーです。どちらが表でどちらが裏ということはありませんが、便宜的に女性の横顔が描かれた側を「表」とさせていただきます。
本ペンダントのモチーフは表裏両面ともギヨシェ彫りの上にエナメル装飾が施されたギヨシェ(ギロシェ、ギロッシュ)・エナメルで描かれたものです。ギヨシェ彫りとは金属の上に旋盤を使用して非常に正確で複雑な反復パターンを彫刻する装飾技法で、18世紀頃から存在するといわれています。機械による加工のため、手作業に比べはるかに精密で繊細な線を引くことが可能。その細密な彫刻の上に透明~半透明のエナメルを施すと、下地の彫刻、光、エナメルのマジックにより、驚くべき立体感と輝きのあるデザインが出現します。
ギヨシェ・エナメルは彫刻そのものを引き立たせるためにシンプルな単色エナメル層を塗布するだけことが多いのですが、本ペンダントの際立つ点は細密な模様が描かれていること。ペンダント表の女性の立体感はこのギヨシェ・エナメルによる効果です。その美しさは同色のエナメルを何層も施すことにより立体感を創り出すグリザイユ・エナメルを彷彿とさせます。ペンダント裏の花やリーフも女性像に引けを取らない魅力的な輝きを放つ存在。濃紺の背景にピンクとグリーンのメタリックな輝きを持つ花やリーフがパールの周りに規則的に並ぶ様は、草原のようにも小さな宇宙のようにも見えます。
中心にパールが留められたギヨシェエナメルのペンダントやメダイヨンは19世紀からアールヌーボー、そしてアールデコまで長い間愛されてきたデザインです。本ペンダントは女性と自然モチーフを採用していることからアールヌーボー期のジュエリーを思わせますが、制作時期はアールデコ期になります。多くの方がイメージされる幾何学的なアールデコのデザインも1929年の世界大恐慌を境に大きく変貌しました。大胆で様式的なジュエリーと共に、女性的で繊細なデザインのものも出現し、19世紀のジュエリーデザインへの興味も再燃しています。自然主義モチーフも復活し、1920年代のものとは一線を画するデザインのジュエリーも増えていったのです。
本体の素材はシルバー800。刻印はフランスの白鳥です。白鳥はゴールドジュエリーの刻印フクロウのイトコのような位置付けの刻印で、判読可能なフランスの刻印が無いアンティークのシルバージュエリーが保証事務所(bureaux de garantie)に持ち込まれた際に、検査の上、押印されます。
誰ともかぶらない個性的な本ペンダントは、お洒落アイテムとしてもアンティークジュエリーコレクションの一品としてもお勧めです。
※商品写真のチェーンは付属しません。