商品詳細
象牙の上に繊細なタッチで描かれた若い羊飼いの女性の美しいミニアチュール(細密画)が、ガラスフレームの中に収められています。1830年から1870年ごろにかけて、風景画や農民画を写実的に描くバルビゾン派という絵画一派がフランスで発生しました。日本でもファンが多いコローやミレーなどがその中心的存在。ミレーの「落穂拾い」は世界的に評価が高い作品です。本品に描かれているのはまさにこのバルビゾン派にインスパイアされた絵で、バルビゾン派の画家が描いた作品をそのまま模写したものかもしれません。羊飼いの女性はミレーもよく取り上げたテーマで、特に1950年代ごろにこのテーマで数多くの作品を描きしました
ペンダント本体の素材は金メッキされたシルバー925。金の純度が15Kのため厳密にはそう呼べないのですが、ヴェルメイユ(金の純度18K)に近いものです。19世紀後半フランスで制作されたこのタイプのロケットペンダントは多くの場合ヴェルメイユが用いられていました。本ペンダントに刻印はありませんが、当店の科学的な金属検査によりシルバー925と15Kゴールドであることを確認しています。
四隅が斜めにカットされたデザインのペンダントを取り囲む枠の上には連続する三角形の幾何学模様が彫られており、この模様の輝きがペンダントに高級感を与えています。ペンダントの周りに散りばめられているのは計50個の天然真珠。ロココ様式のカルトゥーシュに数多くの真珠が留められた様は、優美の極致といっても過言ではありません。
一般的にミニアチュールの下地には、陶器、象牙、マザーオブパールや焼成したエナメルなど、いろいろな素材が使われます。本品の下地は象牙で、ミニアチュールはおそらく水彩で描かれたものでしょう。表面がガラスで覆われているのはこの繊細な絵を保護するため。エナメル画のような耐久性がないため、ミニアチュールをカバーする必要があるのです。
フランスで”Médaillon”(メダイヨン)と呼ばれるロケットペンダントはセンチメンタルジュエリーの代表格。常に大切な人を身近に感じられるよう、ロケットの中に愛する人の写真や、故人を偲ぶ思い出の品などを収納することができます。本ペンダントの裏蓋にセットされているのは四辺が斜めに面取りされた美しいガラス。ガラスフレーム越しに大切な収納品をいつでも見ることができます。
蓋を開ける際は、ガラスフレームの向かって左側に開閉用のくぼみがありますので、爪を掛けて開けてください。蓋のフレーム全体が本体の内側に収まる構造になっていますので、閉める際は内側(右側)に向かって少し押していただくとよりスムーズに閉じていただくことができます。ガラス越しにも見えますが、裏面の素材は美しいマザーオブパール(真珠母貝)です。貝の表面をそのまま利用したナチュラルな素材ですので、工業製品には無い暖かみがあります。大事なお品を収納するロケットペンダントにうってつけの素材といえるでしょう。象牙にマザーオブパールという贅沢な組み合わせのミニアチュールにはなかなかお目にかかることがありません。150年以上前に制作されたアンティークのお品ですが、非常に良好な状態を保っており、この点が本品の希少性を一段と際立たせています。
本ペンダントにはチェーンはついておりません。長さや素材の異なるチェーンや紐などをベイルに通して多彩なコーディネートをお楽しみください。