商品詳細
センターストーンとして大ぶりのローズカットダイヤモンドが留められている、トゥルビヨンリングです。トゥルビヨンリングは主にフランスで19世紀末から1920年代末頃までに制作されました。本リングは、1890年代に制作された、そのごく初期のもの。フランスではナポレオン3世様式と呼ばれる19世紀後半のスタイルから、ベルエポック、アールヌーボー様式への過渡期の作品です。19世紀の重厚な装飾性と20世紀初頭の優雅なイメージを併せ持っているのは、この時代ならではのデザインといえるでしょう。一般的なトゥルビヨンリングとは趣きの異なるセンターストーンのカットやショルダー部の装飾が、このリングの個性を形づくっています。
センターに留められているローズカットダイヤモンドの直径は約4.6ミリ。ご存じの通りローズカットにはパビリオン部が存在せず、クラウンの高さも低めですのでカラット的に「巨大」とはいえませんが、見る人に大きなインパクトを与えるサイズです。アンティークのローズカットの中でもかなり大粒の部類に入ります。これだけのサイズの石を切り出すことのできる原石はそう多くありません。ローズカットは原石の形(特にマクルと呼ばれる扁平な三角形をした結晶原石)を活かしてカットするのですが、4.6mmという直径を確保できる高品質な原石は限られています。マクルは正八面体の原石に比べると出現率が低く、その希少性をアピールするために、原石のままジュエリーに仕立てられることもあるほどです。
この大きなサイズのおかげで、ローズカット特有の澄んだ透明感や、暖かくロマンチックな輝きを存分にお楽しみいただくことができます。マクル原石からカットされているためややイエロイッシュながらも、ほとんどインクルージョンがありません。インクルージョンが目立ちやすい平坦なテーブル面をクリアに保っている大きな個体は、実はなかなかお目にかかれないのです。19世紀のカットらしくガードル部に多少のがたつきはありますが、大変素晴らしい石ですので、ぜひその魅力をご堪能ください。ローズカットについては、アンティーク物語『時を超えて愛される輝き:ローズカットダイヤモンドの魅力と歴史』をご参照願います。
ちなみに、「トゥルビヨン」は、「渦巻き」「回転」「旋風」などを意味するフランス語の"tourbillon"から名づけられたデザイン名。アールヌーボーの流れるような曲線とガーランド様式が融合し、この個性的なリングスタイルが生まれたとされています。
本リングのショルダーが、シンプルなトゥルビヨンスタイルとは少し異なるものであることをお気づきでしょう。先端にダイヤモンドが留められた小さな渦巻き装飾がショルダーを飾っているのです。一般的なシングルショルダーのトゥルビヨンが、大きな渦巻きを強調したシャープさを持っているのに対して、小さな渦巻き装飾が付加されたこのリングは、よりデコラティブという部分でも、19世紀の残り香を感じさせます。
シャンク本体は18Kゴールド、ショルダー・台座のシルバー色の部分はプラチナです。ショルダー部には数多くのラフカットダイヤモンドが留められ、リングに程よい華やぎを添えています。シャンクには、18Kゴールドを示すフランスの「馬の頭」刻印(1838年~1919年)が押印されています。
トゥルビヨンリングは制作数が少なめで、大変人気のあるアンティークリングです。大粒のローズカットダイヤモンドを使用した本リングは、その中でもかなりレアな部類に入ります。ジュエリーの美しさと希少価値も併せ持つ、逸品と呼べるお品です。サイズは15号とやや大きめですので、薬指でゆるい場合は、フランス人のように中指や人差し指などでお楽しみください。