商品詳細
1920年前半、ベルエポックからアールデコへの過渡期にフランスで制作された約2ctの大粒アクアマリンが煌めくゴールドリングです。ファセットカットされたオーバル型のアクアマリンは、パビリオン部に繊細なカットが施されており、クラウン上部から見ると背面のファセットのキラキラとした美しい輝きを楽しむことができます。
清らかな色合いと優れた透明度から高い評価を得てきたアクアマリンは、フランスのアンティークジュエリーをお好きな方にとても人気のある宝石。その名前はラテン語の"aqua marina(海水)"に由来し、エメラルドと同じベリル(緑柱石)の一種です。ちなみにエメラルドに緑色をもたらしているのはクロムあるいはパナジウム。一方アクアマリンは微量の鉄の存在によりブルーに発色しています。今回深く踏み込みませんが、クロム、バナジウム、鉄は「遷移元素」と呼ばれる元素グループに属しており、この遷移元素が鉱物の結晶中の原子と置き換わることにより(「同型置換」といいます)、鉱物にいろいろな色を与えることがあるのです。
ジュエリーの歴史においてアクアマリンが最も着目されたのは、アールデコ期といえるでしょう。宝石そのものの価値よりもデザインに重きを置いた、アーティストの側面が強かったジュエラーたち(bijoutiers-artistes)は、アクアマリンをはじめ、シトリン、トパーズ、アメシストなどの宝石を愛し、よく使用していました。これらの大きな宝石を大胆にメインストーンに用いた、装飾の少ないシンプルなデザインはアールデコの特徴です。
1920年代初期に製作されたこちらのリングは教科書的なアールデコ様式ではなく、ベルエポックの繊細なディテールが色濃く残っています。アールデコ期にはプラチナやホワイトゴールドなど、白銀色の金属が地金として多く用いられていましたが本リングの地金はイエローゴールド製です。加えて、アクアマリンが収められた台座の四隅に配置されたチューブ台座やショルダー部には合計8石のローズカットダイヤモンドがセットされており、台座にプラチナが使用されています。プラチナ台座でダイヤモンドの輝きを引き立たせるはベルエポック期に多く用いられていたデザイン。このように、本リングにはアールデコ期のデザインにはないベルエポック的要素がいくつか見受けられます。とはいえシンメトリーなデザインや、曲線の少ないリニアなイメージはアールデコ期の特徴ですので、本品が両様式のトランジション期に制作されたことを象徴しているといえるでしょう。
アクアマリンをはじめとする寒色系の宝石の地金としてよく組み合わされるのは、寒色系の金属。一方、こちらのリングは暖色系の地金を合わせており、穏やかなコントラストを生み出しています。この組み合わせにより、リングを装着した際に指とよく馴染み、調和のとれたコーディネートを楽しむことができるのです。海水のように清らかなアクアマリンの色が、温かみのあるイエローゴールドと調和し、指先を上品でエレガントに彩ってくれそう。季節を問わず、清らかな心を保つラッキーチャームとして、末永くご愛用いただけることでしょう。
本リングに刻印はありませんが、当店で科学的な金属検査を行い18Kゴールドであることを確認しています。
指輪のサイズ直し(ご購入時初回は無償)をご希望の場合は事前にご相談ください。ご希望のサイズにリフォーム可能かお調べいたします。ご自分のリングサイズの調べ方はこちらの記事でご確認ください。