ヴィンテージ グレイハウンドのダイヤモンドブローチ

数多くのダイヤモンドが散りばめられたシルバー＆ゴールドバックの豪華なヴィンテージブローチ。モチーフとなっているのは猟犬グレイハウンドで、いまにも全力で走り出しそうな躍動感のあるデザインが印象的です。グレイハウンドのブローチは特にエドワーディアン期にイギリスで人気を博し、現在でもグレイハウンドモチーフといえばエドワーディアンスタイル、といわれるほどです。

ブローチに留められていいるのはダッチローズカットのダイヤモンド40石（計約1カラット相当）と、目の部分にルビーがひとつ。ブローチ裏の写真でご覧いただける通り、ダイヤ台座部にいくつか穴が開けられており、オープンセッティングとクローズドセッティングのダイヤモンドが混在しています。ブローチの表面はシルバー925、裏面は9Kゴールド。エッジの周りにはミルグレイン細工が施されるなど細部にまで拘ったデザインが特徴的です。

イギリスでは18世紀後半から19世紀前半、ノベルティといわれるジャンルのブローチが流行していました。日本の方がイメージする「ノベルティ」とは少し概念が異なり、身近な動物、ゴルフ・乗馬・自転車などのスポーツ用品、馬の蹄鉄など、それまでのジュエリーには採用されなかった新奇で面白い対象をモチーフとしたものです。また、多くの期間がアールヌーボーとも重なるエドワーディアン期。当時の国王エドワード7世の父アルバート公も愛したグレイハウンドは、ジュエリーデザインが自然のモチーフを多く取り入れていたこの時期のナチュラリズムの流行と調和したものでもあります。特にその貴族的な雰囲気と洗練された容姿が好まれ、犬との信頼関係から生まれた友情の象徴としても人々に愛されたため、その後も長く作り続けられました。本ブローチは1950年～1960年頃にイギリスで制作されたものです。仕入れはパリのプライベートサロンですが、その躍動感のある美しいデザインは、エレガンスと流行に敏感なパリジェンヌのハートもとらえたのでしょう。

一般的に多くのブローチがフェミニンな印象を与えるデザインである中、本品のようにユニセックスなデザインのブローチはスタイルの選択肢が広がり、着ける人の個性を一層引き立てるおしゃれを楽しむことができそうです。犬好きの方には素晴らしい贈り物になることは間違いありませんが、動物や植物などをモチーフにしたジュエリーを身に着けることで心が安らぎ、ジュエリーを見た人も温かい気持ちになりますね。さりげなくコートやジャケットの襟元、または帽子のアクセントにつけることで、パーソナルスタイルが際立つおしゃれが楽しめることでしょう。

本ブローチに刻印はありませんが、当店で科学的な金属検査を行い9Kゴールドとシルバー925であることを確認しています。