商品詳細
フランスでアールヌーボー期に多く作られたこのタイプのネックレスは、仏現地で"Draperie"(ドラプリー)と呼ばれています。似たスタイルのネックレスとして"collerette"(コルレット)もありますが、コルレットは首元にフィットし、レースや襟のように首の周りを覆うデザインが特徴。一方ドラプリーは、首から胸元にかけてゆるやかに垂れ下がるようにモチーフが配置されています。皆様にご認識いただけるよう商品名には日本独特の呼び名である「ガーランドネックレス」を使用しましたが、商品説明においては半仏人のこだわりとして、フランスにおける通称である「ドラプリーネックレス」(Collier Draperie)を使用させていただきます。
ドラプリーネックレスは19世紀末から20世紀初頭にかけて大流行したデザインで、金のモチーフがチェーンやリングでつながれています(フィリグリーのマイユが使われることもあります)。ガーランドのように自然な柔らかさと美しいラインで垂れ下がり、デコルテを美しく飾るエレガントで華やかなジュエリーです。本品は素材としてゴールドのみを使用していますが、パールなどの宝石があしらわれたり、他の貴金属が使われることもあります。ドラプリーはフランス語で「優美なひだ(ドレープ)のついた飾り布や服地」の意。そのデザインが布の優雅なドレープを思い起こさせるため、ドラプリーネックレスと呼ばれるようになったのです。
アールヌーボー期のジュエリーは、自然界からインスピレーションを受けており、曲線的で柔らかな形が多く使われました。ドレープネックレスは花や植物などのモチーフが使われていたり、布のように滑らかに体に沿うことで自然の動きを表現していたり、まさにアールヌーボーの理念を体現するネックレスです。アールヌーボーのジュエリーには象徴的な意味も含まれています。自然界から取った形や色は、しばしば感情や人生の移ろいを表現するために使われました。複数のチェーンやモチーフが連なり柔らかく垂れ下がるのデザインは、生命や成長、変化を表す動きの象徴として解釈されることもあったのです。
本ネックレスで使用されているモチーフは薔薇と忘れな草。薔薇は「愛」と「美」を表す花として知られており、ギリシャ神話では、愛と美の女神アフロディーテを象徴する花でした。聖母マリアを象徴する愛と純潔の花としても知られ、欧米では多くの絵画や詩で讃えられています。アンティークのセンチメンタルジュエリーで用いられることの多かった忘れな草も、追憶とともに愛を表すモチーフです。永遠の愛や友情、忠誠心などを象徴しています。
本ネックレスは、流行を超えたエレガンスを象徴するアイテムです。連なるモチーフが描く柔らかなラインが自然な流れを生み出し、胸元にさりげなく馴染むそのシルエットは華やかさの中にも落ち着きを感じさせます。生涯大切に使えるパートナーとして、代々受け継ぐことができるジュエリーとして、永遠に輝き続ける逸品といえるでしょう。