商品詳細
アールヌーボー期にフランスで制作された、ガーランドスタイルのゴールドネックレスです。両脇に3枚の葉をあしらった5輪の大きめの薔薇が優雅に連なり、チェーンの先端には3輪の薔薇の花束がぶら下げられています。
ドレープを思わせるガーランドネックレスはアールヌーボー期に大変人気があったスタイルで、チェーンやリングで連なった薔薇などのフラワーモチーフが、首から胸元にかけてゆるやかに垂れ下がるように配置されています。フランスでは主に”draperie”(ドラプリー)と呼ばれ、現代でも多くの方が身に着けている、人気のデザインです。
アールヌーボー期のジュエリーは、自然主義に基づく有機的なモチーフを用い、美しい曲線と柔らかなデザインに仕立てられているのが特徴です。このタイプのネックレスが描くドレープ(布のひだ)のようなデザインは、花や植物といった自然のモチーフをふんだんに使いながら、まるで布のように滑らかに肌に沿うことで、風に揺らめくような自然の動きを見事に表現しています。植物のモチーフが連なり、優美に垂れ下がるこのデザインは、成長や生命力、そして絶え間ない変化を象徴するものとして解釈されてきました。
薔薇のモチーフはレポゼ技法で作られています。これは薄いゴールドのプレートを裏側から押し出すことによって、立体的な浮き彫り(レリーフ)表現を生み出す手法です。モチーフの裏側が押し出した形状のままになっているものも多いですが、本品では、裏側にも薄いゴールドのプレートがかぶせられています(軽微な修復痕があり)。フランスのイーグルヘッド刻印が押印されているネックレス本体は18Kゴールド製で、留め具の引き輪(丸環)部のみ、シルバー多めのゴールド合金です("ArgOr"刻印)。
アンティークのドラプリーはもともとフランスで大変人気のあるアイテムとして流通していましたが、昨今の金価格急上昇や極度のユーロ高(対円)により、さらに仕入れが困難になっています(現地ではアンティーク・ビンテージ品であっても、ゴールド素材がメインのジュエリーは、金価格に連動した値付けとなります)。そのような状況の中でも、当店が多少の無理をすればなんとか日本で販売できそうなお品を見つけ、ご紹介させていただくことになりました。
このタイプのガーランドネックレス(ドラプリー)に関して、普段使いするには少し華やかすぎるのでは、あるいは、首にかけたときにずっしり重みを感じるのではないか、という感想をいただくことがあります。本品は、薔薇モチーフの数が少なめなため、控えめながらも上品なデザインで、装着時に重みを感じることのない、比較的軽量な作りです。もちろん、ご覧いただけるように、薔薇や葉のモチーフは豊かな立体感を持ち、精密に仕上げられています。皆さまのお好みはいろいろかと思いますが、あまり自己主張の強くないアンティークネックレスを軽やかに普段使いしたい、という方にはうってつけのお品でしょう。