商品詳細
ペルピニャン地方の伝統的なデザインで制作された、ペルピニャンガーネットのマーキーズリングです。ナヴェットカットのセンターストーンの周りに、12個のペルピニャンカット(Taille Perpignan)ガーネットがクラスター状に留められています。2.9cm×1.3cmという大ぶりの台座は、これまでに出会ったペルピニャンガーネットのマーキーズリングの中で最大のサイズです。その存在感は格別で、アンティークジュエリーファンの方にとって、コレクションに加える価値の高い一点といえるでしょう。
さらに特筆すべきはその石の美しさ。透明感のあるガーネットと、石の下に敷かれた赤いパイヨン(paillon)が織りなすラズベリーカラーの輝きは、手に取った時に思わず声を出しそうになるくらい美しいものです。「七変化」という言葉がぴったりの色合いで、光の角度や強さ、種類(照明、太陽光)などによって、紫、真紅、ラズベリーなどいろいろなカラーに変化します。
パイヨンを下に敷くスタイルは、この地方のガーネットが持つ輝きと色彩を最大限に引き出すために採用されている、フォイルバックテクニックの一種です。ペルピニャン地方では18世紀後半にパイヨンが用いられ始め、19世紀中頃にはすっかりこのスタイルが定着しました。19世紀中頃までは、フォイルバックされていないペルピニャンガーネットジュエリーも多少は制作されています。しかし、パイヨンが敷かれていないものは色が暗く、ジュエリーとしての華やかさに乏しいものでした。また、厚みを押さえるためにシンプルなテーブルカットの石と組み合わされることが多く、さほど人気を集めなかったのです。ペルピニャンガーネットジュエリーの完成形は、やはり赤いパイヨンと"Taille Perpignan"とも呼ばれるローズカットの石の組み合わせで作られたものでしょう。現代の”IG Grenat de Perpignan”認証においても、この二つは必須となっています。
※本リングは、ペルピニャン近郊のカタルーニャ地方で採掘されたガーネットを使用したアンティーク品であり、現代の認証と直接の関係はありません。
アンティークのペルピニャンガーネットについては、アンティーク物語『ペルピニャンガーネット詳説』でその詳細を解説していますので、ぜひご覧になってみてください。
台座の側面には、この時代のペルピニャンジュエリーに特有の“V”字模様が施されています。クローズドセッティングで石を留める爪は控えめで小さく、華やかさを強調するために大ぶりの爪を用いる現代のペルピニャンガーネットジュエリーとは一線を画すデザインです。クラスターパーツの位置が必ずしも対称ではなく、そのためロウ付けの施し方が場所により異なっているのも19世紀ならでは素朴な魅力といえます。なお、センターストーンの台座と周囲のクラスター部をフック状のパーツで留めるのは、この地方ならではのスタイルです。全体的に裏には多少の凹み等がありますが、このスタイルのアンティークジュエリーにおいてごく一般的なものですので、アンティーク品の味わいとしてお楽しみください。
ややローズがかったゴールドのシャンクには、フランスの18K刻印である「馬の頭」とメーカーズマークが押印されています。「馬の頭」は1838年から1919年にかけて、パリ以外の地方でのみ使用された刻印であり、本リングが、ペルピニャン近郊でガーネットが産出された時代に、地方で制作されたことを示しています(パリではこの時代からイーグルヘッドが用いられました)。さらに本リングには、真正のペルピニャンガーネットジュエリーであることを裏付ける他の二つの要素も揃っています。ペルピニャン地方に伝わる伝統的なデザインであることと、石の色がやや紫がかっていること。この地方で産出したガーネットは主にアルマンディンまたはロードライトで、多くが青みを帯びていたためです。
フランスのアンティークジュエリーが大好きな方にお届けしたい、真正のペルピニャンガーネットリングです。三拍子そろった証を備え、19世紀のペルピニャン地方の美への想いを今に伝えます。代々大切に受け継いでいきたくなるような、本リングの魅力を手に取ってお確かめください。
※こちらのリングはサイズ直しをお受けしておりません。