商品詳細
1830年にフランス国王シャルル10世はアルジェリアに侵攻しました。侵攻をきっかけに、フランスではムーア風ジュエリーが誕生。北アフリカのムーア文化やアラビア文化の影響を受けたエキゾチックなデザインのジュエリーです。
本ブローチは、アルジェリア西部で古くから作られていたメスキア(Meskia)と呼ばれるしずく型のジュエリーにインスパイアされたもの。メスキアはしずく先端のすぼまった部分にチェーンなどを通して使用するペンダントトップですが、本ブローチは、上下逆方向で使うようにブローチの留め具がしつらえてあります。また、ブローチ上部は、本来のメスキアには無い美しいロココ・カルトゥーシュ風のリーフモチーフで飾られており、ムーア文化とヨーロッパのスタイルが見事に融合したユニークなデザインであるといえるでしょう。
中央のトルコ石を挟むように上部に4粒のハーフパール、下部の小さなお花の台座に一粒のパールがセットされています。センターに鎮座するのは四角くカットされたトルコ石。1860年~1870年頃は、なめらかな角のあるカボションにカットされたトルコ石がジュエリーに留められていることがよくありました。本品はトルコ石を1石のみ使用していますが、この時代のジュエリーにはカリブレカット的にトルコ石を敷き詰めたものも多くみられます。当店にもバフカットされたトルコ石を多数使用しているアンティークジュエリーの在庫があり、今後出品する予定です。楽しみにお待ちください。
ターコイズ(turquoise)の"turquoise"はフランス語で「トルコの」を指す形容詞です。トルコ石という名前の由来は、トルコ石の原産地(現イランの一地域)を支配していたトルコ系王朝からヨーロッパに広まったため。この時代に十字軍がトルコ方面に遠征したことがきっかけとなりました。余談ですが、オーナーは幼少期に数年イランに住んでいたことがあります。このときにイランから持ち帰った装飾品の多くがトルコ石で飾られており、個人的にも馴染み深く好きな宝石の一つです。
ブローチの表面には、肉眼でもはっきりと見てとれるミル打ちや、美しい曲線から成る細密な金細工が隅々にまで施されています。美しい模様はどれも個性的で、アンティークジュエリーの中でもこの価格帯でこれほどまでに細部にこだわった彫金が施されているものにはなかなかお目にかかれません。美しく繊細な装飾は見事な出来栄えであり、手作りで仕上げる手間や技術は想像をはるかに超える、驚くべきものです。また、表面に施されている無数の細かい装飾が、ゴールドの輝きを何倍にも増幅させる効果をもたらしています。個性的で美しいデザインときらめく輝きをぜひお楽しみください。
ブローチのピンにフランスの18Kゴールドを示すフランスの「イーグルヘッド」の刻印が入っています。